○サッカースタジアムのピッチを探検しよう。その1

サッカースタジアムのピッチを探検しよう。その1

Q1縞模様に芝目を付けているのはなぜですか?

A1濃淡が交互に見える縞模様は機械で芝を刈る時に自然と出来るものです。それは機械の進む方向に向かって芝の葉が寝てしまうことから、順目と逆目が出来てそれが光の屈折に影響して人間の目には濃淡の縞模様に見えるわけです。

札幌ドームでは幅が10~13mくらいです。芝管理スタッフはスタジアムに来られた観客の目やテレビ映りを考えて、刈る方向や刈る幅を工夫して美しく見えるようにいつも意識して刈っています。

これはスタジアムによってこだわりがあり、幅広い縞模様を好むスタジアムや細く本数を多く見せるスタジアム、斜めに刈るスタジアムなど、それぞれ個性を出しています。

Q2どんな種類の芝生を使っていますか?

A2札幌ドームは冷涼な気候の北海道にありますので、寒地型芝草(冬芝とも言われています。)が生育に適しています。その中でサッカーの試合に耐えられるような強健で回復力の強い、そして美しいターフを作る「ケンタッキーブルーグラス3品種」とケンタッキーブルーグラスのような持続性はありませんが、初期生育が早くて裸地を早く緑にしたい時に役立つ「ペレニアルライグラス1品種」の種子を重量比9:1で混合して造成時に播種しました。

ゴール前やセンターサークル付近、副審の走るタッチライン際以外は札幌ドームの開業以来、オーバーシードをしないで現在まで維持されています。

Q3-1ピッチの刈高はいくつですか?

A3-1基本的には20mmですが、芝生の生育状態や季節を考慮してもう少し刈高を上げて刈ることもあります。

札幌ドームの芝は寒地型芝草ですので、本州のような暖地型芝草のように20mmを下回るような刈高は、芝草が弱ってしまうので出来ません。

Q3-2芝刈りの頻度はどの位ですか?

A3-2これも季節によって違います。春や晩秋のように芝草があまり伸びない時期は4日に1回の頻度、夏の生育が旺盛な時期は2日に1回の頻度で刈ります。年間で90回くらいになります。

Q3-3その他どのようなお手入れに特に気を使っていますか?

A3-3札幌ドームの中は密閉された空間ですので、日光が入らない、風が吹かない、湿度が上がりやすい特徴があります。そのため、ピッチ上に露が降りて水を撒いたような状態になりやすいので、大型送風機や館内の空調ダクトを利用して人為的に風を当てたり、除湿冷房をかけて湿度を下げる対策を取っています。

また、長期間ドーム内に設置すると日光が当たらない影響で徒長しやすくなるので、設置期間は最長で7日間と言う自主的な基準を設けています。

Q3-4サッカースタジアムで使う芝生管理の道具にはどんなものがありますか?

A3-4基本的にはゴルフ場で使用されている機械や公園管理で使用されている機械と同じです。但し、刈高が20mm以上となるので、3連乗用リールモアはグリーンモアやティーモアではなく、フィールドモアと呼ばれているスポーツグラウンド専用機を使用しています。

札幌ドームのホヴァリングサッカーステージの特徴として、構造物や駆動機械への悪影響の防止からピッチ上にあげる芝生管理機械の重量に制限があります。そのためトラクターは出来るだけ小型のタイプを使用して、それに適応可能な小型の更新作業機械を用意しています。

バロネス 乗用スイーパー(FS800)

Q3-5芝生管理及びグラウンド管理には何人の方がお仕事をされていますか?

A3-5芝生管理には札幌ドームの社員4名、グラウンド管理には社員4名とアルバイト4名の計8名が仕事をしています。札幌ドームは基本的にはほとんどの業務を直営で行っています。

スタッフは芝生管理やグランウンド管理のほかに、敷地内の草地・樹木の管理や冬季には除雪作業も行っています。

バロネス芝刈り機整備をしているスタッフ木下淳二さん

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