○サッカースタジアムのピッチを探検しよう。その2

サッカースタジアムのピッチを探検しよう。その2

Q4白いラインはどのように描いているのですか?

A4外国製のペイントマシンを使用しています。簡単にいえば道路の白線を描くのと同じ機械です。まず、線を真っ直ぐ引くための目印として、ピッチの縁にあるマーカーを頼りに細い糸を縦横に張り巡らしておきます。その道糸をなぞる様に長いアルミ製の樋状のソリを前後の二人の人間で芝生上を滑らせていきます。 そのソリの中央には溝(ラインの幅と同じ11cm)が切ってあり、そこにスプレーガンのノズルを向けて水性のペイントを吹き付けて線を描いていきます。基本的にはソリを滑らす担当2名、スプレーガンを持つ担当1名、マシンを押して移動させる担当1名、補助1名の計5名で行っています。

Q5試合で傷んだ芝生の補修はどのように行っていますか?

A5選手がスパイクシューズでつけた擦り傷や小さな穴は芝生の再生力で自然と綺麗に回復しますので基本的には何もしません。但し、早く回復させるために、穴状になった場所は目土作業と言って、砂を入れて埋め戻しします。

Q6キーパーの定位置のところが一番傷み易いように思いますが、どのような管理を行っていますか?

A6札幌ドームはサッカーの試合数が他競技場と比較して多くありませんので、普通の使い方ではひどく傷むこともなく、しっかりとした施肥管理や目土管理を行っていれば問題ありません。

しかし、シーズンが開幕する3月から4月の時期は積雪等による練習場のコンディションの問題や寒さの問題があり、試合前日の練習利用がよく入ることからゴール前の芝生の傷み方がひどくなることがあります。

そこで芝生の回復力を促進させるために、ゴール前に芝生養生シートを敷いて保温をしていますが、回復が見込めない時には最終的に苗畑から新しい芝生を切り取って張り替えをしています。

張り替えた後にすぐに利用したいので、張った芝生がめくれたりしないように厚さ6センチ程度の芝生(ソッド)を敷き詰めています。

札幌ドームの芝は寒地型芝草ですので、本州のような暖地型芝草のように20mmを下回るような刈高は、芝草が弱ってしまうので出来ません。

Q7ピッチが動くのにどのくらい時間がかかるのですか?

A7野球モードからサッカーモードへの転換時間は、人工芝の巻き取りと撤去、PVシートの撤去、ホヴァリングサッカーステージの館内への移動など合わせて約9時間かかります。

逆にサッカーモードから野球モードにする場合は、人工芝の引き込みやPVシートの設置に時間がかかることから2日に分けて実施しており、初日のホヴァリングサッカーステージの移動とPVシートの設置に約9時間、2日目の人工芝の敷き込みに約10時間かかります。

ホヴァリングサッカーステージは毎分4mのスピードで移動しますが、屋外からドーム内への移動と設置には直進や旋回の切り替えや屋外と屋内の供給電源の切り替え作業があるので約5時間かかります。

Q8チーム(コンサドーレ札幌)から芝生管理の要望もあったりしますか?

A8監督が変わるとチーム戦術も変わりますので、まれに要望も出ますが、頻度としては少ないです。暖地型芝草のピッチに長年、慣れ親しんでいる監督の場合には、どうしても寒地型芝生の草丈や特有の粘りによるボールの転がりにくさを気にされるようです。

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