3.埼玉スタジアム2002のヘッドグラウンズマンはこんな人

3.埼玉スタジアム2002のヘッドグラウンズマンはこんな人

イギリスやドイツなど、海外の超有名なサッカースタジアムのヘッドグラウンズマンとも親交が深い、埼玉スタジアム2002のヘッドグラウンズマンこと、芝生のスペシャリスト、輪嶋正隆さん。もちろん、ピッチ管理の責任者として、サッカー日本代表監督とも話をする機会があるそうです。
まさに視座は世界の舞台。サッカー好きだけではとても務まらないお仕事なのですが、なんと毎年多くの弟子志願者からの問い合わせがあるとか。そんな輪嶋さんに、とっておきの話をうかがいました。

Q1うれしかったエピソードはありますか?

A1サッカー日本代表の長谷部選手とのエピソードです。

サッカー日本代表のキャプテン長谷部誠選手が、浦和レッズから、ドイツのブンデスリーガのチームに移籍する際、ドイツに出発する前日に事務所に挨拶に来て、『私は、素晴らしいピッチでプレーできて幸せでした。』と話してくれたことは、私にとって非常にうれしいエピソードとなりましたが、残念ながら私は出張中で、そのことをメールで知りました。
また、どの試合においてもピッチ上でケガなく無事に修了したときは、毎回のことですがいつもホッとしてうれしい瞬間でもあります。

Q2埼玉スタジアム2002開催試合で、印象深いシーンはありますか?

A2浦和レッズ、日本代表選手が活躍した試合です。

2007年に、浦和レッズがアジアチャンピオンリーグ(ACL)で優勝を決めたことや、埼スタでは日本代表が負けないという神話が長く続いたことは、やはり強く印象に残っています。
また、埼スタ北側に位置するゴールで、神がかり的なゴールシーンが多く生まれていることも、神秘的でドラマチックに感じます。 試合中は芝生チェックのことばかりで、サッカー観戦どころではないのですが、それでもうれしいものです。

Q3日本を代表するサッカーフィールドとして、特に気を使っている点はありますか?

A3ピッチ整備はいつも同じクオリティ。キッズも、日本代表も、手を抜きません。

キッズ、シニア、レディース、ジュニア、中学、高校、一般、プロ、どのカテゴリーにおいても同じクオリティのピッチ面を提供しています。ですから、日本代表や浦和レッズの試合があるからといって特別な事はしません。
試合に供するピッチ整備は、いつでも前日、または当日に刈込を短辺方向で行い、ラインを引き、ゴールを立て主催者に引き渡します。常に同じ事を同じ者が作業しているので、間違いが無く、突然のアクシデントにもすぐに対応できます。
埼スタは、日本が世界に誇るサッカースタジアム。そのため、いつも日本代表、浦和レッズとも、チーム付きのマネージャーとの連携を取りながら、その都度ピッチの情報提供を行い、いつもフェアであり、選手が良いパフォーマンスを出来るようにメンテナンスしています。

Q4ヘッドグラウンズマンの一日のスケジュールは?

A4サッカーの試合中は、試合を見ずに、ピッチのチェック。

埼玉スタジアム2002で試合がある日のスケジュール概要はこちら。
朝、出勤→メインピッチ芝確認→天気予報確認→PC確認→段取り確認→作業員に対し作業の指示→ラジオ体操(全員で)→刈込確認、ゴール建て、ライン引き準備などの確認立ち会い→サブグラウンドなど守備範囲の確認→作業後の確認→天気予報確認→昼食→マッチコミッショナーピッチ確認立ち会い→試合時は、特定の場所で試合状況とピッチの傷などの確認作業→試合終了後ピッチに降り立ち傷の確認→翌日の作業段取り→指示書作成→作業報告を受ける→日報の確認→事務処理→帰宅

私は、試合を見ているのでは無く、選手の足下を見て、試合中の芝へのダメージを記録し、データ化する資料にしています。もう13年間のデータをもっています。あと、試合中にピッチ上でアクシデントがあった場合すぐに対処出来るよう、作業員は我々の指示のもと、すぐに出動出来るよう待機しながらモニターテレビで試合を見ています。
試合中は、サッカーではなくピッチのチェック。サッカーは激しいスポーツですから、ハーフタイムにはスタッフと連携してピッチコンディションを作ります。

Q5グラウンズマン、輪嶋さんのヒミツ道具をみせてもらえませんか?

A5自分たちが使いやすいように作った手製の道具たちです。

・除草用ホーク
自分の手にフィットし、雑草を取りやすいように作りました。

ご家庭でのおすすめ用品はこちら
○草取り器

・播種用スタンプ
ピッチの補修のため部分的な種まきの際に使う道具、インターシードに使います。 この道具で補修部分に穴をあけてから種まきをし、覆土します。

ご家庭でのおすすめ用品はこちら
○バロネス スポットシーダー

・芝切り用カッター
芝の張り替えの際に使う道具、通称、「ギロチン」と呼んでいます。

ご家庭でのおすすめ用品はこちら
○バロネス ターフカッター

誰もが使うような家庭的な園芸用の道具を、埼玉スタジアム2002で愛用しています。

Q6埼玉スタジアム2002の芝管理は、何人の方がお仕事をされていますか?

A6メインピッチをはじめ、芝管理の対象は約50,000平米。

写真左:ヘッドグラウンズマン 輪嶋正隆さん 右:グラウンズマン 佐藤亮太さん (公益財団法人埼玉県公園緑地協会)

芝管理の対象は、約50,000平米。
・グラウンド メインピッチ   (寒地型芝草)
・グラウンド 第2ピッチ    (寒地型芝草)
・グラウンド 第3ピッチ    (ティフトン419+WOS)
・グラウンド ナーセリー    (寒地型芝草)
・公園内芝生広場        (コウライシバ)
・浦和美園駅前ロータリー 埼玉高速鉄道線 (寒地型芝草)

これらを2人のグラウンズマン(輪嶋正隆さん、佐藤亮太さん)と、作業員6名、合計8名で管理しています。

Q7芝生のお庭づくりを楽しんでいるみなさんに、芝管理のアドバイスをお願いします!

A7細心な観察をしてみましょう。

どこの場所でも、芝を植えれば素直に育つという事は無く、その場所での芝草の生育の特徴があるので、細心な観察をして、後でわかりやすいように簡単なメモを残しておくと、便利ですよ!
たとえば、植物が好きな方なら、樹の花の時期や成長とダブらせて芝草を観察するとか、家庭内の出来事とリンクするとか。おすすめです。

埼玉スタジアム2002で繰り広げられる試合の裏舞台では、このようにヘッドグラウンズマンの輪嶋正隆さんをはじめとして、スタッフのみなさんの活躍で支えられているのです。
埼スタで観戦の際に輪嶋さんをみつけたら、ピッチコンディションの感想を添えて、思いっきり手を振ってみてくださいね。きっと手を振り返してくれると思います♪

なるほど芝生の豆知識。はこちら

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